お知らせ

2021年7月16日

繭から生糸になるまでの旅

皆さまこんにちは!

こちら足利も梅雨明けの青空広がるお天気で気持ち良いです♪

熱中症には気を付けて、夏本番楽しみましょう~。

さて、まだまだ梅雨真っ盛りだった7月初め、栃木県の桑畑から養蚕農家、そして群馬県の碓氷製糸工場まで、

「繭が生糸になるまでの旅」へ行って参りました!

元気いっぱいに葉っぱが生い茂っているのは栃木県の桑畑です。

手前の背の低い木は、2年ほど前に植樹したばかり。

でもひょろっとしたただの一本の枝だったものが、ちゃんと成長して

「木」になっていますね~。

お蚕様を育てる間の約1週間は、農家さんは大忙し!

毎日毎日桑畑で桑の葉を刈り取り、食欲旺盛なお蚕様に

与えなくてはなりません。体力作業です…!

こちらは養蚕農家さんのお宅の2階にある「上蔟(じょうぞく)室」です。

桑の葉をおなか一杯食べたお蚕様は、いよいよ繭糸を吐く準備が整います。

そうすると、お蚕様が繭を作るためのお部屋(マンションのようです!)へ

入ってもらい、上蔟室へ。ここで数日間繭糸を吐き続け、綺麗な繭が出来上がります!

見て下さい~!とっても美しいです。これが「繭」ですね。

出来上がった繭を集めることを「収繭(しゅうけん)」といいます。

収繭直前の上蔟室は、何とも言えない「タンパク質」の匂いがします。

髪の毛を燃やした匂いというか…繭の独特の匂いですね。

上蔟室の屋根。立派な梁がいくつも見えます。

なんと江戸時代後期の建物なんです!!(今も生活されています。)

こちらが外観です。屋根に二つ小さな屋根が見えます。

それがちょうど、先ほどの上蔟室の上を見上げて見えたところですね。

建物も、養蚕の文化も、全てが貴重な「文化財」ですよね。

そして集めた繭がどこへ行くかというと…

群馬県にある「碓氷製糸工場」!!

ここで日本の国産生糸の多くは作られています。

大まかな流れとしては、繭を乾燥させ、お湯で煮て、何本かの繭糸を束ねて一本の生糸にしていきます。

こちらはお湯の中にたくさんの繭がありますね。ほうきのようなものが糸を引っぱっているのが見えますか?最初に繭の外側の部分の糸を取り除きます。

これがいわゆる「キビソ」と呼ばれる糸になります。

こちらが「キビソ」です。

上質な生糸にはならない部分ですが、セリシンを多く含み、体を洗う

ウォッシュタオルなどで大活躍したり、素材感を生かした別の製品に生まれ変わったりします。お蚕様が身体を張って作ってくれた繭だと思うと、全て無駄にすることなく使いたいですね。

キラキラとした細~い繭糸、見えますか??

髪の毛の1/10の細さですが全く切れない!!とてもしなやかで美しいです。

キビソ部分を取り除き、綺麗な糸が出てきたら、ベルトコンベアのような機械に乗せられ、繭糸が数本ずつまとめられ一本の生糸になっていきます。

これは色素のある繭から取れた生糸なので綺麗な黄色をしています。

絹の艶って本当に綺麗です。年々貴重となっていく純国産シルクですが、

今も作り続けている農家さんや製糸工場があります。

着物は「消耗品」ではありません。一つ一つの反物が出来上がるまでに

とっても長い旅の話があります。そんなストーリーを知ることで、

さらに楽しく、そして大切に着物を着ていただけたら嬉しいです♪

最後に梅雨の思い出。